ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)/ 人の手で作られ、壊され、復元されたアユタヤ王朝時代の仏教寺院遺跡


    
アユタヤ旧市街の島の外、南東部に位置する「アユタヤスタジアム」がある場所には、王朝時代に5つの程の仏教寺院があったと伝えられており、そのうち2つが復元されて、その姿を見せてくれています。
 
ただ残念なのは、正確な発掘作業が行われることなく「スタジアム」が建設されたとされており、現在もアユタヤ市民がフットボールなどを楽しむスタジアムの下には、貴重な歴史的遺跡が手つかずの状態で眠っています。
 
今回は、アユタヤ市民憩いの場所にある「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」をご紹介します。
      
     

「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」とは?

   

   
アユタヤ旧市街の島の外、南東部に位置し、アユタヤ市民の憩いの場である「アユタヤスタジアム」の敷地内奥にひっそりと佇むのが「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」です。
 
1970年代以前には、近隣の水田を拡張するなど民間での工事において、多くの遺跡が無断で取り壊されていたようですが、1972年に農業高校の拡張計画により民間工事が中断したことで、5つ程の遺跡は完全な破壊を免れ基礎の一部が残ったといわれています。

ただその後「アユタヤスタジアム」を建設することになり、3つほどの残った遺跡の詳しい調査は行われずに、そのまま埋め戻し工事で姿を消しましたが、「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」は運良く、その被害から逃れた遺跡の一つとなります。

修復された礼拝堂と破壊された仏像、南側にメインチェーディー(仏塔)?とサブチェーディー(仏塔)の基礎だけが残る小さな仏教寺院遺跡です。
 
他の遺跡同様、正確な建立時期や理由などは分かっていませんが、遺跡の発掘調査からアユタヤ王朝初期~中期に建立され、王朝後期に改修、修復されたのではないかと考えられています。
  
    

「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」の見どころは?

1:礼拝堂

    

   

     
礼拝堂は大きな2層に分かれた基礎で作られており、1層目は周辺を歩いて廻れる回廊状になっていますが、柱などの基礎を見ることはできません。
    

   

   

     
高い階段を登ると、南側の奥側に小さな祭壇があり、破壊された仏像が数体分、安置されています。
    
恐らくですがメインチェーディー(仏塔)の一部と思われる大きな破片も一緒に安置してあります。
    

2:メインチェーディー(仏塔)の基礎?

   

    

      
礼拝堂の南側に広く大きな四角い基礎が残っており、これがメインチェーディー(仏塔)の基礎かどうかは正式に分かっていないようです。
      
ただ遺跡の案内版には2つのサブチェーディー(仏塔)を備えた立派なメインチェーディー(仏塔)があったと記載されており、記述とは合致しているようですが1950~60年代にかけて破壊されてしまったようで、残念ながら、その真偽のほどは分かりません。
    

3:サブチェーディー(仏塔)基礎

   

   

    

      
礼拝堂の南側、メインチェーディー(仏塔)との間に小さなサブチェーディー(仏塔)の基礎が残っています。四角い基礎となっており、アユタヤ初期から中期の建築物に見られる特徴を備えています。
   
   

「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」の雰囲気は?

  

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「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」への行き方

    

   
アユタヤ旧市街の島の外、南東部にあり、国鉄アユタヤ駅からであればレンタルサイクルで行くこともできますが、約3.5kmほどと思った以上に距離がありますのでトゥクトゥクを利用して行かれることをおすすめします。
     

1:トゥクトゥクを利用する場合

国鉄アユタヤ駅から片道150バーツで行くことができますが、近くにはアユタヤの観光名所でもある「ワットヤイチャイモンコン」「ワットパナンチューン」などもありますので、3時間600バーツほどで貸切った方が楽に観光することができます。
    

2:レンタルサイクルを利用する場合

国鉄アユタヤ駅近隣でレンタルサイクルを1日50バーツで借りて、まずは「クルンシーリバーホテル」方面へ南進し、ホテル前にある踏切を渡ってから、直ぐに右折して対向車線側に渡り、「チェディー ワット サームプルーム」の大きな交差点を目指します。
     
「チェディー ワット サームプルーム」の交差点を右折して、道なりに約600m直進すると左側に学校があり、その先の交差点を左折して小道に入ります。
     
ここから道なりに約600m直進すると、右側に「アユタヤスタジアム」がありますので、そのまま中に入り、一番奥まで進むと舗装路から少し離れた場所に「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」があります。
     
国鉄アユタヤ駅から約3.0km、時間にして約25分ほどの道のりとなります。
    
     

    

名称 ワットマクラム
名称(英) Wat Maklam
名称(タイ) วัดมะกลำ
営業時間 08:00~18:00
拝観料 なし
住所 Phai Ling, Amphoe Phra Nakhon Si Ayutthaya, Chang Wat Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000

     
    

まとめ

 
   

   
アユタヤ旧市街の島の外、南東部に位置する「アユタヤスタジアム」の中にある遺跡の一つ「ワットマクラム(วัดมะกลำ・Wat Maklam)」をご紹介しました。
   
残念ながら現代の人の手によって壊されてしまい、アユタヤ王朝時代の面影を見ることができなくなっていますが、もし南側にある基礎がメインチェーディー(仏塔)のものだった場合、かなり大きな寺院だったことは想像できます。
 
「ワットヤイチャイモンコン」などの南東部の観光地へ行かれた際には、少しだけ足を延ばしてみては如何でしょうか。
    
  



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