アユタヤ旧市街の島の外、東側に位置する「ワットナーンカム(Wat Nang Kham)」は幹線道路から狭い路地を入って、小さな運河を渡った集落の中にあり、礼拝堂とスリランカ様式のメインチェーディー(仏塔)、周囲を囲むレンガ壁で構成されています。
車一台が通れる小さな路地なので、外国人観光客の方は、その存在自体知らないのではないかと思います。
今回は「ワットナーンカム(Wat Nang Kham・วัดนางคำ)」をご紹介します。
「ワットナーンカム(Wat Nang Kham・วัดนางคำ)」とは?
アユタヤ旧市街の島の外、東側に位置し、「アヨタヤフローティングマーケット」の裏側にある狭い路地を入って、小さな運河を渡った先にある集落の中にあり、幹線道路からは見えないため、地元の方しか、その存在を知らない遺跡です。
周辺を一般の住宅に囲まれ、しかも路地が行き止まりとなっているため、人通りも少ない場所にあります。
寺院の正面は東側を向いており、礼拝堂とスリランカ様式のメインチェーディー(仏塔)、寺院周辺をグルリと囲むレンガ壁によって構成されている小さな遺跡です。
他の遺跡同様、正確な建立時期や理由などは分かっていませんが、遺跡調査によってアユタヤ王朝初期に建立されたと考えられており、アユタヤ王朝年代記には第34代「ボーロマコート王」によって修復され、1755年の雨季に奉納され、その際、「ワットサンカテェ(Wat Sangkha Tha・วัดสังขทา)」の僧侶が雨除けの儀式のため招かれたとの記述も残っています。
1767年のビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻で破壊され、そのまま放棄された仏教寺院遺跡です。
「ワットナーンカム(Wat Nang Kham・วัดนางคำ)」の見どころは?
1:寺院を囲むレンガ壁
寺院の周辺は、頑丈なレンガの壁で囲まれており、東西南北のそれぞれに入口が配置されています。壁の高さも1mほどあり、この規模の仏教寺院遺跡にしてはしっかりとした作りになっています。
2:礼拝堂
寺院の東側に配置されているのが「礼拝堂」で、内部には大きな四角い柱の基礎と小さな祭壇があり、破壊された仏像が1体、安置されています。周辺には聖域を示す「セーマー」を置いていたと思われる小さな基礎が幾つか残っています。
破壊された仏像は、比較的大きく立派なのでアユタヤ王朝当時は由緒ある寺院だったことが分かります。
3:メインチェーディー(仏塔)
西側の運河に近い場所にはメインチェーディー(仏塔)があり、四角いテラス状に作られた基礎の上に八角形の基礎を配置し、その上にスラッとした釣り鐘型の本体が乗ったスリランカ様式のチェーディー(仏塔)です。
形状的には、アユタヤ旧市街北部にある「ワットジョンコム」の非常に珍しい二重構造のメインチェーディー(仏塔)と似ており、アユタヤ王朝後期の特徴を備えているため、第34代「ボーロマコート王」の時代に改修、または再建されたと考えられています。
東側の正面には遺物室へ登ることのできる階段がありますが、入口に門が設置してあるため、中に入ることができませんが、内部を覗くことができますので、興味のある方は登ってみるのも面白いかも知れません。
4:数多くのセーマーの破片
メインチェーディー(仏塔)の階段を登ったテラス部分には、寺院の聖域を示す「セーマー」の破片が数多く置いてあります。
発掘調査の際に、出土したと思われますが色が濃いオレンジのような感じで、最初に見た時は、正直、何か分からなかったほどです。
メインチェーディー(仏塔)の周辺にも、「セーマー」が配置してあった基礎が残っていますので、恐らくこの近くから出土したのだと思います。
「ワットナーンカム(Wat Nang Kham・วัดนางคำ)」の雰囲気は?
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「ワットナーンカム(Wat Nang Kham・วัดนางคำ)」への行き方
「ワットナーンカム(Wat Nang Kham・วัดนางคำ)」はアユタヤ旧市街の島の外、東側にあり、「アヨタヤフローティングマーケット」の300mほど手前にある狭い路地を入って行く必要があるため、レンタルサイクルでも行くことはできますが、できればトゥクトゥクを利用して行かれることをおすすめします。
周辺には民家もあり、安全だとは思いますが野犬が多く、一人で行くのは避けた方が無難だと思います。
トゥクトゥクを利用する場合
国鉄アユタヤ駅からは片道150バーツで行くことができますが、周辺には「アヨタヤフローティングマーケット」をはじめ、「ワットマヘーヨン」や「ワットクディーダオ」など大きな遺跡も数多くありますので、3時間600バーツほどで貸切った方がお得です。
名称 | ワットナーンカム |
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名称(英) | Wat Nang Kham |
名称(タイ語) | วัดนางคำ |
営業時間 | なし |
拝観料 | なし |
住所 | Phai Ling, , Amphoe Phra Nakhon Si Ayutthaya, Chang Wat Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000 |
まとめ
アユタヤ旧市街の島の外、東側にある「ワットナーンカム(Wat Nang Kham・วัดนางคำ)」をご紹介しました。
筆者が、この遺跡を見付けたのは違う遺跡を探していた時に、たまたま迷い込んだら、チェーディー(仏塔)が見えたので行ってみるとあったという偶然の産物でしたが、思った以上に綺麗にされていて、歴史的にもしっかりとした背景のある遺跡なのが意外な感じでした。
アユタヤ東部の観光をされる際に、少し足を延ばせば見に行くことができますので、この機会にお出掛けしてみては如何でしょうか。
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