ワットタンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) / アユタヤ王朝年代記に2度も登場し、スリランカへの仏教布教の礎を築いた由緒ある現存仏教寺院


   
ご紹介する「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram)」は、アユタヤ旧市街の島の外、西側に位置し、以前にご紹介した「ワットターカロン」のすぐ近くにあり、チャオプラヤー川沿いにある静かで厳かな雰囲気のある現存仏教寺院です。
   
寺院の敷地内には、スリランカ様式のメインチェーディー(仏塔)やサブチェーディー(仏塔)をはじめ、礼拝堂やアユタヤ王朝から残る古いレンガ壁などがあり、敬虔なタイ人の方が訪れ、祈りを捧げている場所でもあります。
     
今回は「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) 」をご紹介します。
  
  

「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) 」とは?

    

      
アユタヤ旧市街の島の外、西側に位置し、チャオプラヤー川沿い、以前ご紹介した「チェーディーシースリヨータイ」の対岸にあり、美しいスリランカ様式のメインチェーディー(仏塔)と礼拝堂、その後ろにある説教ホール、入口側には、これもスリランカ様式の2基のサブチェーディー(仏塔)がある厳かな雰囲気のある現存仏教寺院です。
    
アユタヤ王朝年代記にも、その名が記載されている由緒ある仏教寺院遺跡で、第19代「マヒンタラーティラート王」が統治する時代、1569年にビルマ(現在のミャンマー)がアユタヤに軍事侵攻した際、ビルマ軍の駐屯地となっていたとの記載も残っており、この記述からアユタヤ王朝中期に建立されたと考えられています。
   
ビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻でアユタヤは陥落し、後の第21代「ナレースワン王」の時代までビルマ(現在のミャンマー)の属国となってしまいます。
    
その後、アユタヤ王朝が独立を果たした後のアユタヤ王朝後期、第34代「ボーロマコート王」の統治時代、この「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) 」の高僧である「プラウバリー」と「プラアリヤムニ」が王の命を受けて、スリランカに渡り、仏教の普及に努めたという記述が残っており、タイの仏教と深い繋がりがることも分かっています。
      
     

「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) 」の見どころは?

1:タンブンで寄贈された新しい壁

    

   

  

  

     
「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) 」の周辺は、素晴らしい漆喰のレリーフ細工が施された白い新しい壁で囲まれていますが、この壁、実はタンブン(徳を積む)によって作られたもので、寺院数ヵ所に設置された美しい門にタンブンをした方の名前が埋め込まれています。
   
白い漆喰で作られた門には、繊細な細工が施してあり、アユタヤ王朝時代に作られたものではありませんが、非常に美しいので、是非、見てもらいたい建築物です。
   

2:アユタヤ王朝時代のレンガ壁と門

   

  

  

  

     
先にご紹介した寺院を囲む白い壁の内側には、アユタヤ王朝時代のレンガ壁と門が部分的にですが現存しています。残念ながらレリーフなどは少しだけしか残っていませんが、新しい壁や門とのコントラストが綺麗で、新旧の見比べをすることができます。
   

3:スリランカ様式のサブチェーディー(仏塔)

   

  

  

     
白い漆喰の門をくぐり、寺院内に入ると左右に大きなスリランカ様式のサブチェーディー(仏塔)があり、修復されているとは思いますが、白い化粧をしてあり、光の角度によっては青白く見えるため、神秘的な感じもします。
  

4:礼拝堂

   

  

  

     
他の遺跡同様、寺院の正面は東側を向いており、サブチェーディー(仏塔)の西側に礼拝堂が配置されています。

この礼拝堂は現チャクリー王朝に入ってから、改修、再建されていますがデザイン的には弓なりの基礎が特徴的なアユタヤ王朝後期のデザインで再建されています。
     

   

   

   

   

   

     
入口と後ろ側の梁の部分などには木製の美しい装飾が施されており、さらに正面には3つの入口がありますが、中央入口は少し豪華に作られており、木製の扉にはびっしりと彫刻が掘られており、さらに入口上部には漆喰の繊細なレリーフが配置されていて、見どころの一つです。
    

5:礼拝堂内部の仏像

   

  

     
礼拝堂内部には金色に輝く4体の仏像が安置されており、多くの参拝者の方が訪れていました。
      

  

  

    
また、金色の仏像の後ろ側、奥には気づき難いですが扉があって、小さな隠し部屋があり、そこにも美しい仏像が1体安置されています。こちらは、お顔の彫が深く、正直、余り見かけない顔立ちをされており、不思議な感じがする仏像です。
    

6:スリランカ様式のメインチェーディー(仏塔)

   

  

  

  

    
礼拝堂の後ろ側にあるのが、スリランカ様式のメインチェーディー(仏塔)で、四角い基礎のテラスの上に釣り鐘型の本体がのっている形状をしていて、テラスの上に登って周辺を回ることができるようになっています。
   

  

     
またテラスの四隅には小さなサブチェーディー(仏塔)が配置されており、遠くから見ても美しい形状をしています。
   

7:説教ホール

  

  

  

    
寺院の一番西側にあるのが説教ホールで、入口の上の梁にも漆喰のレリーフがあり、所々にアクセントとして陶器を埋め込んでいて美しいものです。
   

  

  

     
先にご紹介したメインチェーディー(仏塔)のテラスから、この梁がしっかりと見ることができますので、是非、メインチェーディー(仏塔)のテラスに登ってみて下さい。
     

  

    
また、こちらの説教ホールの内部にも金色の仏像が安置されていますが、余り扉を開けていないようで、筆者が中に入れたのも、たまたま運が良かっただけのようです。
   
機会があれば、是非、覗いて見て下さい。
  
   

「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) 」の雰囲気は?

   

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「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) 」への行き方

   

   
「ワット タンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram) 」は、アユタヤ旧市街の島の外、西側に位置し、観光名所の一つである「ワットチャイワタナラーム」から車で5分ほどの場所にあり、旧市街の遺跡などと比較しても交通の便は悪い場所となるため、無理をすればレンタルサイクルでも行けないことはないですが、交通量の多い幹線道路を渡る必要があるため、トゥクトゥクを利用されることを強くおすすめします。
 

トゥクトゥクを利用する場合

国鉄アユタヤ駅からであれば片道150バーツで行くことができますが、周辺には観光名所でもある「ワットチャイワタナラーム」や古式ムエタイを創始したといわれる黒の王、「ナレースワン王」を荼毘に付したといわれる「ワットウォラチェート(วัดวรเชษฐ์)」、アユタヤ王朝第18代「チャクラパット王」を守って戦死した「シースリヨータイ王妃」を祀る「チェーディーシースリヨータイ」などがありますので、4時間800バーツで貸切った方がお得です。
   
      

   
   
    

名称 ワットタンマラーム
名称(英) Wat Thammaram
名称(タイ語) วัดธรรมาราม
営業時間 08:00~17:00
拝観料 なし
住所 หมู่ ม .6 ต บ้าน ป้อม อ พระนครศรีอยุธยา, Tambon Ban Pom, Amphoe Phra Nakhon Si Ayutthaya, Chang Wat Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000

   
    

まとめ

  

      
アユタヤ旧市街の島の外、西側にある「ワットタンマラーム(วัดธรรมาราม・Wat Thammaram)」をご紹介しました。寺院の外側を彩る美しいレリーフと白いメインチェーディー(仏塔)が印象的な厳かな雰囲気を持つ、アユタヤ王朝時代から続く由緒ある現存寺院です。
 
交通の便が悪い場所にあるのですが、多くのタイ人の方がタンブンやお参りに参拝されているのは意外でした。
 
のんびりと1時間ほど散策していたのですが、西側の地区でも奥まった場所にあるため、分かり難いのか外国人観光客の方は一切、見ることはなく、ある意味、穴場スポットだったのかも知れません。
 
「ワットチャイワタナラーム」から5分ほどの場所にありますので、是非、足を延ばしてみて下さい。
  
  
  



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