アユタヤ県外にもアユタヤ王朝時代に作られた寺院の遺跡が数多く残っており、最も有名なのは第30代「ナーラーイ王」が副都として開発を行ったロッブリー県が有名ですが、それ以外にも近隣には多くの遺跡が残っています。
先日、隣のアーントーン県にアユタヤ王朝時代に作られた綺麗な遺跡があるらしいと、妻が調べてくれた仏教寺院遺跡へ行ってみました。
今回はアーントーン県にある「ワットサンクラターイ(วัดสังกระต่าย・Wat San Kratai)」をご紹介します。
「ワットサンクラターイ(วัดสังกระต่าย・Wat San Kratai)」とは?
アーントーン県サラデーン地区に位置し、見事に育ったトンポー(菩提樹)に侵食された礼拝堂が残るだけの小さな仏教寺院遺跡です。
トンポー(菩提樹)に侵食されただけの遺跡であればアユタヤにも数多くあり、珍しいものではないですが、この「ワットサンクラターイ(วัดสังกระต่าย・Wat San Kratai)」は、何が珍しいかというと、現存する礼拝堂は4本の巨大なトンポー(菩提樹)に建物の「四隅」を侵食されており、逆に、このことで礼拝堂が崩壊から守られているという、共存関係になっているということです。
寺院が建立された正確な時期や理由などは分かっていませんが、アーントーン県はアユタヤ王朝時代、北方から攻め込んでくるビルマ軍をはじめ、現在のチェンマイやチェンライのあるタイ北部にあったとされるラーンナー王国などを迎え撃つための軍事的要所だったといわれており、アユタヤ王朝初期に建立されたと考えられています。
筆者が訪れた時には礼拝堂全体が、補修作業のため鉄パイプで囲まれていましたが、多くの参拝客の方で賑わっており、アーントーン県の観光名所にもなっているようです。
「ワットサンクラターイ(วัดสังกระต่าย・Wat San Kratai)」の見どころは?
1:礼拝堂
唯一現存する建築物である礼拝堂は、大きく3つの部屋で構成されており、メインの2つの部屋には修復された仏像が安置されており、もう一つには仙人(ルーシー)とナーガの像が祀られています。
寺院自体が100年以上、放棄されていたといわれていますが屋根の一部や窓枠などが残っており、思った以上に綺麗な印象を受けます。
2:トンポー(菩提樹)
礼拝堂の「四隅」に生えているトンポー(菩提樹)は長い年月をかけて大きく成長していて、駐車場に停まっている乗用車と比較してもらえれば、その大きさがよく分かると思います。
また礼拝堂内部にまで侵食した根は、曼荼羅のように壁一面に広がって壁を支えている場所もあり、放棄されてからも礼拝堂が倒壊しないように守っていたことが分かります。
3:ルアンポーケーン
礼拝堂の入口となる部屋に安置されている修復された仏像で、後ろにはナーガを従え、穏やかな表情をされており、修復前の破壊されている状態の写真も礼拝堂の外に掲示してあり、見ることができますが古い写真にも金箔が貼られており、近隣の方の信仰の対象になっていたことが分かります。
このルアンポーケーンの後ろには、トンポー(菩提樹)の根が壁一面に張り巡らされており、曼荼羅(まんだら)のようにも見え、隠れた見どころの一つです。
4:ご本尊
最も大きな部屋には3体の修復された仏像が安置されており、それぞれに「ルアンポーワンディ、ルアンポーシー、ルアンポースーク」というお名前があるそうです。真ん中にある仏像の修復前の写真も、先ほどのルアンポーケーン同様に礼拝堂入口の所に写真が掲示してあり、優しい表情をされています。
5:3番目の部屋
アーントーン県の観光情報を確認すると、以前は何も置かれていない部屋だったようですが、現在は仙人(ルーシー)とナーガの像が安置されており、こちらも多くの参拝客の方がお参りをされていました。
アユタヤで、仙人(ルーシー)像が安置されている遺跡は、筆者が覚えている限り「ワットマヘーヨン」の隣にある「ワットシカーサムッド」しかないと思いますので、普通に安置されているのは珍しいと思います。
「ワットサンクラターイ(วัดสังกระต่าย・Wat San Kratai)」の雰囲気は?
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「ワットサンクラターイ(วัดสังกระต่าย・Wat San Kratai)」への行き方
アユタヤから「ワットサンクラターイ(วัดสังกระต่าย・Wat San Kratai)」へは自家用車を利用するか、アーントーン県までロットゥ(乗合いバス)で行き、現地でトゥクトゥクなどを利用するといった方法になりますが、アユタヤシティパークの反対側にあるバス乗り場周辺にはバンコク行き?のタクシーが客待ちをしていますので、交渉次第ではアーントーンまで貸し切りで行ってくれると思います。
自家用車であれば、アユタヤシティパークから約30分ほどで行くことができるため、比較的アクセスし易い場所にあります。
1:自家用車を利用する場合
まずはバンコクからチェンマイまで続く国道32号線(通称:アジアンロード)を約32km北上し、アーントーン市街に入る国道334号線へ左折し、道なりに進むと信号機がありますので、この交差点を左折して国道368号線に入ります。
道なりに約9kmほど直進すると信号機のある大きな交差点(ここまでは信号機がありませんので簡単に分かると思います)を左折して、県道3064号線に入り約1.7kmほど進んでUターンをして少しだけ戻ると左側に小さな路地があり、ここを左折して道なりに約400mほど進めば左側に大きな駐車場が見えて到着です。
名称 | ワットサンクラターイ |
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名称(英) | Wat San Kratai |
名称(タイ語) | วัดสังกระต่าย |
営業時間 | 08:00~17:00 |
拝観料 | なし |
住所 | Sala Daeng, Mueang Ang Thong District, Ang Thong 14000 |
まとめ
アユタヤ県の隣、アーントーン県にある「ワットサンクラターイ(วัดสังกระต่าย・Wat San Kratai)」をご紹介しました。
礼拝堂のみが残る小さな仏教寺院遺跡ですが、見事なトンポー(菩提樹)と修復された仏像が非常に美しく、多くの参拝客で賑わっており、アーントーン県でも有数の観光地となっているようです。
4本のトンポー(菩提樹)が礼拝堂を包み込むように守っているのが印象的な場所なので、アーントーン県に行かれる際には、是非、足を延ばして見て下さい。
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