「ワットケー(Wat Khae)」はアユタヤ旧市街の島の外、北東部にあり、広大な敷地には大小さまざまなチェーディー(仏塔)をはじめ、礼拝堂や叙階ホールなどが数ヵ所あるなど、かなり大きな仏教寺院遺跡となります。
以前、ご紹介した「ワットジョンコム」や「ワットプラヤーメーン」からも約1.5kmほどしか離れておらず、北部にある遺跡群を観光する場合に気軽に寄れる場所にあります。
今回は、幹線道路沿いにあり広大な敷地とアユタヤでは珍しいチェーディー(仏塔)を持つ「ワットケー(Wat Khae)」をご紹介します。
「ワットケー(Wat Khae)」とは?
遺跡の集中するアユタヤ旧市街の島の外、北側にある遺跡群の中の一つとなり、広大な敷地の中に、大小さまざまなチェーディー(仏塔)と礼拝堂、叙階ホールなど多くの建築物が残る仏教寺院遺跡です。
他の遺跡同様、詳細な資料は残されておらず、建立時期や理由などは分かっていませんが、遺跡調査によってアユタヤ王朝初期に建立されたと考えられていますが、1767年のビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻によって破壊され、そのまま放棄されて今に至ります。
また白の王とよばれるアユタヤ王朝第22代「エーカートッサロット王」の懇意にしていた、僧侶ルアンプトゥアドが、このワットケーに住んでいたことがあるとの伝承が残っています。
「ワットケー(Wat Khae)」の見どころは?
寺院敷地内には、大きな3つのチェーディー(仏塔)があり、それぞれに異なる特徴を持っており、これだけ異なるチェーディー(仏塔)が揃っているのは「ワットケー」だけだと思います。
また礼拝堂や叙階ホールなども計4か所ほどあり、見どころが多過ぎますので、代表的な遺跡だけ、ご紹介します。
メインチェーディー(仏塔)No.1
寺院敷地の北側にある大きなチェーディー(仏塔)で「アユタヤ中期の建築様式に見られる特徴を備えており、遺跡調査で数回修復されている」ことが分かっています。
四角い大きな基礎の上に釣り鐘型のチェーディー本体が載っている形状ですが、この四角い基礎部分は建立当初の八角形の基礎を取り囲むように作られたと考えられています。
またチェーディー(仏塔)の基礎上部には壊れて一部しか残っていませんが、レンガ細工でバツ印の柵が作ってあり、他の遺跡では見ないデザインとなっています。
メインチェーディー(仏塔)No.2
このチェーディー(仏塔)No.2は遺跡調査によって、タイ北部のチェンマイ県を中心に8~13世紀に栄えたランナ王国の建築物に見受けられる「Lannaスタイル」と呼ばれる様式で、1457年ごろに建立されたと考えられており、アユタヤ王朝にランナ王国の建築様式があるのかは、この地域にランナ王国からの移民が暮らしていたからだといわれています。
このランナ様式のチェーディー(仏塔)も修復拡大工事を行っていたらしく、側面部分内部には未完成の部分が残されています。
またメインチェーディー(仏塔)No.2の四隅には、小さなチェーディー(仏塔)が配置されていますが、残念ながら全て崩壊しており、その中の1つにはトンポー(菩提樹)が大きく育っていて、見どころの一つになっています。
メインチェーディー(仏塔)No.3
寺院敷地の最も南側にあるのがメインチェーディー(仏塔)No.3です。
2つのスリランカ様式のチェーディー(仏塔)が、同じ基礎の上に並んで作られており、遺跡調査で、このチェーディー(仏塔)も拡張工事されていることが分かっています。
二つ並んだチェーディー(仏塔)の一つは頂上部分が崩落しており、基礎の近くに落ちていて、その大きさに驚くと思います。
小さな崩壊したチェーディー(仏塔)
寺院敷地内の一番北側にあるチェーディー(仏塔)は、「ワットマヘーヨン」にあるゾウのレリーフに囲まれた「チェーディー チャーン ローム」と同じように、チェーディー(仏塔)本体に仏像を安置するための台座が配置されていますが、仏像は残っておらず、ビルマ(現在のミャンマー)の軍事侵攻によって全て破壊されてしまっています。
またチェーディー(仏塔)の頂上部分は崩落して、本体の直ぐ傍にあります。
礼拝堂 No.1
メインチェーディー(仏塔)No.1の真後ろには礼拝堂No.2があり、北側にはナレースワン王の像とタイ国旗、ラーマ9世の梵字の垂れ幕がタンブンで寄贈されて置いてあります。
南側には祭壇が配置されていて、破壊された仏像が1体だけ安置してあり、近くには参拝者がお供えした花輪が飾られています。
礼拝堂 No.2
先にご紹介した小さな崩壊したチェーディー(仏塔)の横には基礎部分が高く作られた礼拝堂があり、内部の一段高くなった祭壇には破壊された仏像の一部が安置されていて、かなり破壊されていますが、お顔も拝顔することができます。
叙階ホール?
メインチェーディー(仏塔)No.3の後ろには叙階ホールがあり、アユタヤ王朝時代にはお坊さんが説教をしていた祭壇があるだけとなっています。建物の基礎は、しっかりと作られており、綺麗な姿を残しています。
「ワットケー(Wat Khae)」の雰囲気は?
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「ワットケー(Wat Khae)」への行き方
「ワットケー(Wat Khae)」はアユタヤ旧市街の島の外にあり、トゥクトゥクかレンタルバイクを利用して行くことになりますが、小さな道が入り組んでおり、グーグルマップでの経路案内を利用しましたが、筆者も道を間違えグルッと遠回りしたほどで、できるだけトゥクトゥクを利用して行かれることをおすすめします。
トゥクトゥクを利用する場合
国鉄アユタヤ駅から片道150~200バーツで行くことができますが、以前ご紹介した「ワットプラヤーメーン」や「ワットジョンコム」、グーグルマップに載っていなかった非常に行き難い「ワットプラサート」などの北側にある遺跡群が近くにありますので、3時間600バーツほどで貸切って行かれることをおすすめします。
名称 | ワットケー |
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名称(英) | Wat Khae |
営業時間 | なし |
拝観料 | なし |
住所 | Khlong Sa Bua, Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000 |
その他、豆知識
タイ人の投票は苦労が一杯?
mohamed HassanによるPixabayからの画像
タイムリーな、お話ですがタイでは2014年の軍によるクーデター以降、初の民政復帰となる選挙が2019年03月24日に行われました。
日本では本籍地と住民票の住所が異なることが殆どで、選挙の投票は住民票のある地区の投票所へ行きますが、タイでは住民票というものがなく、「タビアンバーン」と呼ばれる戸籍謄本に記載されている住所が現住所を証明するものとなります。
なので地方から出て来たタイ人方などは、選挙の投票をするために、タビアンバーンに記載されている場所まで行く必要があり、筆者の知合いのタイ人の方も田舎に急遽帰省した人が多くいました。
これはタイ人の方が、オービスでスピード違反で捕まった場合にも、違反証明がタビアンバーンに記載された住所に送られてきます。
こう考えると、結構タイ人の方が投票するのは大変なんだなぁと思います。この帰省ラッシュのお陰で、バンコクへ向かう幹線道路は今日の夕方大渋滞していました。
まとめ
アユタヤ旧市街の島の外、北側にある「ワットケー(Wat Khae)」をご紹介しました。広大な敷地の中に数多くの遺跡が残っており、特に3基の異なる様式で作られたチェーディー(仏塔)は、非常に面白いので一見の価値はあります。
見どころの多い仏教寺院遺跡なので、アユタヤに来られたときには足を運んで見て下さい。
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