ワットプラヤーメーン / 他の遺跡にはない独特な見所と秘境的な場所にある仏教寺院遺跡


   
「ワットプラヤーメーン」はアユタヤ旧市街の島の外、北側にある遺跡群の一つで、以前にご紹介した「ワットジョンコム」から約200mほど離れた場所にあり、広大な敷地に礼拝堂をはじめ、チェーディー(仏塔)や非常に珍しい水汲み用の上水道の遺跡などがあります。

小さな小道を進んだ先にあるため、非常に分かり難い場所にありますが、探して見に行く価値は十分にある遺跡です。

今回は「ワットプラヤーメーン」をご紹介します。
    

「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」とは?

   

   
「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」はアユタヤ旧市街の島の外、北側の遺跡群の中の一つです。広大な敷地を誇り、礼拝堂をはじめ、チェーディー(仏塔)や非常に珍しい「給水塔の遺跡」などを備えた仏教寺院遺跡で、アユタヤの主要遺跡としても登録されています。

他の遺跡同様、建立された時期などの詳細は分かっていませんが、遺跡調査によってアユタヤ王朝初期に建立されたことが分かっており、以前にご紹介した「ワット ボーロープッタラム」を建立した第31代「ペートラチャ王」が王位に着く前に、僧籍として修行していた寺院だったといわれています。

また「ペートラーチャー王」が王位についた後、寺院は大々的に修復され1690年に完了し、その際、3日間に渡ってお祝いの祭典が行われたことが記録に残っています。

その後、1767年にビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻で破壊され、放棄されて現在に至ります。
 
 

「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」の見どころは?

 

1:東側の八角形のチェーディー(仏塔)

  

   

      
寺院東側の入口から入ると、直ぐの場所に2つのチェーディー(仏塔)が配置されており、1つは修復されていますが、もう1つは頂上部分が崩落し、残骸の一部が直ぐ横に置いてあります。
 

     
このチェーディー(仏塔)は、後ろにある礼拝堂とのコントラストが綺麗で見応えがあります。
アユタヤ王朝後期の仏塔によく見られるスタイルとなっており、四角い台座の上に八角形のチェーディー(仏塔)を載せた形状となっています。
  

  
他の遺跡にあるチェーディー(仏塔)とは異なる特徴を備えており、東西南北の4方向にアーチ型の小さな凹みが各7ヵ所、合計28ヵ所配置されています。恐らくですが、このアーチ型の凹み部分には小さな仏像の漆喰が施されていたのではないかと思います。 
 

2:礼拝堂

   

  

   

   
「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」の中心に位置するのが、この「礼拝堂」で最も見どころの多い場所でもあります。礼拝堂自体の大きさは幅18m、長さ28mと大きく、寺院正面の東側には3つの入口を備えています。
  
遺跡調査で、同じ基礎の上に3回も礼拝堂を立て直していることが分かっています。
   

黄金の仏像と破壊された仏像

   

   

   
礼拝堂に入ると、タンブンで寄贈されたと思われる黄金の仏像が正面奥に安置されており、その横には1767年のビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻で破壊された仏像の胸像部分が安置されています。
 

   

  
余り参拝される方も少ないのか、破壊された仏像の上にお線香が載っているなど、少し乱雑に物が置いてあり残念でした。
 
実際、筆者も仏像を見てお供えが全く無いのが寂しく、ペットボトルのお水を車まで取りに行き、お供えをしたほどです。
 

大小のアーチ型の窓

 

   

  
先にご紹介した「東側の八角形のチェーディー(仏塔)」の基礎部分にも同じ形状の凹みがありましたが、礼拝堂の内部にも壁全面に同様のアーチ型の窓があり、これは、アーチ型の窓内部に小さな仏像を祀っていたと考えられています。
   

     
アーチ部分の内部には、何となくですが仏像のような跡が残っています。
   

   

   
また正面入口の壁には大きなアーチ型の窓があり、漆喰の感じから、ここにも仏像のレリーフなどがあったと思われます。
 

偽の窓

   

   

    
礼拝堂の側面には左右其々に7つの窓がありますが、後側から2番目、3番目の窓は「偽の窓」が配置されており、レンガで塞がれた壁に、窓の装飾を漆喰で作っています。「偽の窓」が作られている理由は分かりませんが、仏像が安置されている祭壇と重なる部分に配置されていますので、神聖な祭壇が外から見えない特別なものという意味があるようです。

この「偽の窓」は、外から見ただけでは気づき難いので、内部と外の構造をよく覚えておくと良いかも知れません。
 

トンポー(菩提樹)と木材

 

   

   
礼拝堂北側の壁の最上部にはトンポー(菩提樹)が数本生えており、どうやって自生したのか不思議になります。この礼拝堂も数十年後には、「ワットマハタート」のようにトンポー(菩提樹)が大きく茂り、遺跡を自体を飲込むのだと思います。
   

   
また礼拝堂の屋根部分に使われたと思われる木材が数か所、現存しており、建物の概形を想像することができます。
 

3:西側の2連チェーディー(仏塔)

  

  

  

  

  
礼拝堂の西側には、2連のチェーディー(仏塔)があり、1つの基礎の上に2つの仏塔を配置したスタイルとなっています。アユタヤ王朝後期によく作られたデザインですが、先にご紹介した東のチェーディー(仏塔)のような仏像を安置するアーチ型の窓はありません。
   
最長部が崩落しているだけで、大きな損傷もなく美しい八角形の姿を見せてくれます。
   

4:鐘楼(しょうろう)と謎の建築物

 

  

   
礼拝堂の北側には小さな運河があり、その向こう側に「鐘楼(しょうろう)」があります。1辺が約4.3mと、鐘楼としては大きなサイズとなっていますが、「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」の敷地は広大なため、この大きさも納得できます。
 

   

   
また「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」の敷地の西側の奥には「謎の建築物」があり、説明のプレートにも「四角い建築物」としか書かれておらず、どんな用途に使われていたのか、全く分からない遺跡があります。
  

5:給水設備の遺跡

  

  

  

   
寺院の北側には「給水設備の遺跡」があり、どういう仕組みで給水されていたのかは、想像できませんがアユタヤ王朝時代の技術力の高さを垣間見ることができます。
    
正直、筆者もこのサイトを開始してから数多くの遺跡を見て廻っていますが「給水設備の遺跡」があるのは、間違いなく「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」のみだと思います。
   
   

「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」の雰囲気は?

   

    
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「タイ猫Yuwiのアユタヤ観光案内」の動画は「GoPro Hero7 Black」で撮影しています。
  
   

「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」へ行くには?

  

  

アユタヤ旧市街の島の外にあり、かなり分かり難い場所にあるため、国鉄アユタヤ駅からトゥクトゥクを利用することをおすすめします。

  
正直、筆者も辿り着くまでにグルグルと何度も周辺を30分以上廻っており、グーグルマップでも正確な道順を示すことができません。「ワットプラヤーメーン」に行くのを諦めかけて、最後に入った路地で、たまたま行きついたほど行くのに苦労した遺跡です。
   
下手をするとトゥクトゥクの運転手も知らない可能性がありますので、事前にマップなどで詳しく説明しておく必要があると思います。
   
料金的には、恐らく片道200バーツにはなると思いますので、以前にご紹介した「ワットジョンコム」「ワットチャオヤー」「ワットナープラメーン」なども一緒に見て廻ることを考え、1時間200バーツで貸切った方が安いと思います。
  
レンタルサイクルでも行くことはできますが、正直、おすすめできません。
  
 

  
  

名称 ワットプラヤーメーン
名称(英) Wat Phrayaman
営業時間 なし
拝観料 なし
住所 Lumphli Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000

 
 

その他、豆知識

ソンクラン(水掛け祭)について

 
引用:Pixabay
  
タイにはご存知の通り4月中旬に「ソンクラン(水掛け祭)」があり、日本からも多くの観光客の方が訪タイされると思います。以前は、市内のあちこちでタイ人、外国人関係なく水の掛け合いを楽しんでいましたが、ここ数年は警察からの規制が厳しくなっており、ある程度、決まった場所でしかソンクランを楽しむことができなくなっています。
 
大々的に「水掛け」が行われている場所は、アユタヤ旧市街に入ったパーサック川沿いの「Uthong Rd(ウートンロード)」の路上、下記の地図周辺となります。
 
  

  
     
ここ以外にも「アユタヤエレファントキャンプ」付近でも行われています。
   
   

  
  
もし4月にソンクランを楽しみにアユタヤへ来られる際の参考にして下さい。
    

まとめ

  

  
アユタヤ遺跡の中でも非常に分かり難い場所にありながら、見応えのある礼拝堂や珍しい給水設備の遺跡などがある「ワットプラヤーメーン(Wat Phrayaman)」をご紹介しました。
 
外国人の観光客は、まず存在は知らない穴場スポットの遺跡なので、是非、足を運んでみては如何でしょうか。
 
    
    






      
    
   

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