ご紹介する「ワットプラサート(Wat Prasat)」はアユタヤ旧市街の島の外側、北側に数多く存在する仏教寺院遺跡の中の一つで、以前、ご紹介した「ワットジョンコム」と「ワットプラヤーメーン」の間にありますが、「グーグルマップにも載っていない寺院遺跡」となります。
筆者が「ワットプラサート(Wat Prasat)」を見付けたのは本当に偶然でしたが、恐らく地元のタイ人の方が知っている位で、ガイドブックや情報誌にも殆ど掲載されていないと思います。
今回は「ワットプラサート(Wat Prasat)」をご紹介します。
「ワットプラサート(Wat Prasat)」とは?
この「ワットプラサート(Wat Prasat)」はアユタヤ旧市街の島の外側、北側にある遺跡群の中の一つで、寺院の敷地の大きさで考えると隣接する「ワットジョンコム」よりも大きいと思います。
破壊されたチェーディー(仏塔)や礼拝堂、叙階ホールなど複数の遺跡で構成されていますが、他の遺跡同様、建立時期や理由などを残した資料が失われており、正確な時期などは分かっていません。
またタイ政府による遺跡自体の修復が2016年から開始され、最近終わったような感じですが、寺院に入る道は整備されておらず、気軽に訪問するにはハードルの高い遺跡でもあります。
遺跡修復時の調査で、建築物の特徴からアユタヤ王朝後期に建立されたと考えられています。
「ワットプラサート(Wat Prasat)」の見どころは?
1:ホール(Hall)
寺院の敷地入口近くにあり、幅7.9m、長さ12.14mの建物となっており、基礎部分と壁の一部が残るだけとなっています。ただ建物奥側にはアーチ型の窓が2ヵ所あり、仏像のレリーフを祀っていたような感じになっています。
修復前の写真を調べてみると、このホールの壁には大きく立派なトンポー(菩提樹)が生えていたようですが、修復時に伐採されてしまったようで、非常に残念です。
当時の写真を見たい方は、「History of Ayutthaya」というサイトに掲載されています。
2:パビリオン(展示館)
「ホール(Hall)」の横にあるのが、レンガとモルタルで作られた「パビリオン(展示館)」と推測されています。建物の大きさは幅5.4m、長さ約21.3mと縦長の建物ですが、上に登る階段などはなく、どうやって利用されていたのかは解明されていません。
パビリオンの上部には、特に何かを祀ってある形跡はありません。
3:北側の遺跡
寺院の北側には、1つの大きな基礎の上に礼拝堂をはじめ、チェーディー(仏塔)や叙階ホール、お坊さんなどの宿泊施設跡などがあります。
1:礼拝堂跡
北側の遺跡の入口側左側にあるのが、破壊された仏像とタンブンで寄贈された白い仏像が安置されている「礼拝堂跡」となります。
礼拝堂自体は2段構造になっていて、1段目の基礎には柱を建てるための基礎となる丸い円柱が並んでおり、回廊として使われていたことが分かります。2段目の奥側にタンブンで寄贈されたと思われる白い仏像と、その後ろに破壊された仏像の一部が安置されています。
また礼拝堂への入口付近には小さなチェーディー(仏塔)のような感じの構造物が3つ程あり、これは正直、他の遺跡では見たことがありません。残念ながら、どういう意味のものなのかは分かりませんでした。
2:破壊されたチェーディー(仏塔)
礼拝堂の向かい側には、破壊された小さなチェーディー(仏塔)が2基配置されていますが、現在では塔身の殆どが崩落し八角形の土台部分を残すのみとなっています。
3:叙階ホール
北の遺跡の一番奥、北側には「叙階ホール」があり、建物の大きさは幅約10.4m、長さ19.2mとなっています。入口がある東側に2つの階段があり、建物の周辺には境界石を配置するための四角い基礎を備えています。
叙階ホールの上には、特に残っているものはなく、一番奥に祭壇跡があるだけとなっています。
3:お坊さんの宿泊施設跡
叙階ホールの前には同様の作りとなった2つの建物があり、お坊さんの宿泊施設といわれています。基礎部分しか残っていませんが、柱を差し込む四角い穴が至ることろに設置してあり、頑丈に作られていたことが分かります。
「ワットプラサート(Wat Prasat)」の雰囲気は?
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「ワットプラサート(Wat Prasat)」へ行くには?
国鉄アユタヤ駅からトゥクトゥクを利用して行く場合、まず以前にご紹介した「ワットジョンコム」を目指します。
「ワットジョンコム」へ到着したら、そのまま裏側へ続く道を直進すると右側の草地に入って行く路地がありますので、ここを勇気を出して右折して道なりに約100mほど進めば、目の前が開けて「ワットプラサート(Wat Prasat)」に到着です。
正直、筆者も一人で行くには安全面で不安があり、妻と一緒に行ったほどで、やはり最初は上記の草地方向への小道に入るのをためらってしまいました。
グーグルマップの写真を掲載しておきますが、黄緑の矢印がついた小道は舗装されておらず、野原の中を通って行くような感じになります。
現在、グーグルマップに申請をしていますので、正式な地図ができたら差し替えを行いますので、今暫くお待ちください。
グーグルマップの承認が降り、表示されましたので正式な地図に差し替えておきます。(2019年03月18日更新)
名称 | ワットプラサート |
---|---|
名称(英) | Wat Prasat |
営業時間 | なし |
拝観料 | なし |
住所 | Lumphli Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000 |
その他、豆知識
タイの一人旅での注意点
引用:Pixabay
今回、ご紹介した「ワットプラサート(Wat Prasat)」へ筆者が一人で行くのを躊躇ったことは、タイの一人旅での注意点にも繋がります。
以前よりも格段に数は減りましたが、タイでは路上生活者が比較的多く、彼らが寝床にしているのが寺院や遺跡などの物陰などになります。
筆者が今回、「ワットプラサート(Wat Prasat)」へ一人で行くのを躊躇って妻と一緒に行ったのも、この遺跡は地元の方でも殆ど行かないような場所にあるため、彼らが寝床にしている可能性がありました。
タイの犯罪率を考えると人気のない場所に一人で行く場合、強盗や殺人、傷害などの事件に巻き込まれる「可能性」が高くなり、念には念を入れて、もしもの時の予防線を張っていく必要があります。
因みに今回、非常時の連絡者として妻に来てもらいましたが、妻は車の中に居てドアをロックしている状態で待ってもらっていました。
海外に旅行に行く場合や筆者のように住んでいる場合、どんな事件に巻き込まれるか分からないという「可能性」を考慮して行動することが必須となります。
まとめ
アユタヤ旧市街の島の外、北側にある遺跡群の一つ「ワットプラサート(Wat Prasat)」をご紹介しました。グーグルマップにも登録されていない、破棄された仏教寺院遺跡で、まず間違いなく殆どの外国人観光客は、その存在すら知らないと思います。
今回、筆者が「ワットプラサート(Wat Prasat)」を見つけたのも偶然で「ワットジョンコム」の裏手側を散策していた時に、遠くにご紹介した「ホール(Hall)」が見えたため、調べると遺跡があったという感じです。
広大な敷地に、色々な遺跡が残っていますので、機会があればパートナーや友人などと2人以上で訪問することを強くおすすめします。
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