ご紹介する「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」は、アユタヤ旧市街の島の外、北東側にある現存寺院で、お坊さんが修行されています。敷地内には漆喰のシン(ライオン)像が配置されたチェーディー(仏塔)をはじめ、陶器で装飾された礼拝堂やアユタヤ王朝から続く礼拝堂など、小さいですが見所の多い場所でもあります。
アユタヤ王朝第21代「ナレースワン王」の関係する伝説やビルマ(現在のミャンマー)がアユタヤを攻撃するための拠点だったなど、さまざまな伝説が残っていることでも有名です。
今回は「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」をご紹介します。
「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」とは?
アユタヤ旧市街の島の外、北東部にあり、アユタヤ王朝初期、若しくはナレースワン王の統治時代に建立されたといわれる非常に古い仏教寺院で、現在もお坊さんが修行をされています。
またビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻時、アユタヤ島を攻撃する砲兵の拠点となっていたことで、破壊を免れたともいわれています。
寺院正面には古い門と礼拝堂、その内部には初期のアユタヤ時代に作られたと考えられている、真っ白な仏像である「ルアンポーカオ」が安置されています。礼拝堂の後ろには、以前ご紹介した「ワットタンミカラート」のような、漆喰で作られた「シン(ライオン)の像」が配置されたチェーディー(仏塔)などがあります。
この他にも新しい礼拝堂などもあり、静かな寺院ですが見所の多いのが特徴です。
「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」に残る、ナレースワン王の伝説を掻い摘んで、ご紹介しておきます。
ナレースワン王がボートに乗っていた時、暴風雨に見舞われ王宮に戻ることができなかったため、近くにあった老婆の小さな家に避難しました。
老婆が王の濡れた服を洗って乾かし、翌朝まで休息の場を提供したことで、翌朝、王宮に無事に帰り着くとこができたため、ナレースワン王から多大な感謝をされました。
この親切に報いるため、老婆は王宮へ招かれ、王の母親のような待遇で暮らしたといわれています。
この老婆が亡くなった際に、ナレースワン王が葬儀を行い、この「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」を建立したというのが、寺院に残る伝説です。
「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」の見どころは?
1:寺院入口の門
アユタヤ王朝時代に作られた寺院の入口は、漆喰とレンガで作られており、他の寺院や遺跡では見ない美しいアーチを描いています。この門から、古い礼拝堂の奥にある真っ白な仏像「ルアンポーカオ」を拝顔することができます。
2:古い礼拝堂
寺院の門正面にあるのが、アユタヤ王朝時代に作られた礼拝堂で、所々、漆喰が剥がれてレンガが見えており、その古さを実感することができます。
正面の壁面には、漆喰で作られた花とねずみ?のレリーフがあり、一部壊れていますがアユタヤ王朝時代の装飾を見ることができます。
また入口には、ふくよかな体形をした仏像が2体並んで安置されており、お線香とロウソク、蓮の花をお供えする方が多くいらっしゃいます。
3:ルアンポーカオ
古い礼拝堂の中に安置されている真っ白い仏像が「ルアンポーカオ」です。アユタヤ王朝初期に作られたと考えられており、長い間、タイの方の厚い信仰の対象となっています。
礼拝堂の柱が壁になって見え難いですが「ルアンポーカオ」の左右にも白い仏像があり、3体の仏像を同時に見れないのが残念です。
4:シン(ライオン)の像で囲まれたチェーディー(仏塔)
「ワットタンミカラート」にある獅子に囲まれたチェーディー(仏塔)と比べると、シン(ライオン)の像が少ないですが、チェーディー(仏塔)の壁面には像を固定した凹みがあり、長い年月の間に崩落したか、破壊されたのだと思います。
チェーディー(仏塔)の規模は、こちらの方が大きく非常に立派で、厳密には「ワットタンミカラート」のシン(ライオン)の像とは作られた年代が異なることが、遺跡調査などで判明しています。
5:新しい礼拝堂
寺院入口正面にある古い礼拝堂の横には、比較的新しい礼拝堂があり、こちらには金色の精悍な顔つきの仏像が安置されています。
礼拝堂の壁面には、陶器の器が数多く埋め込んだ装飾が施されており、余り他の寺院や遺跡では見ないデザインとなっています。
6:トンポー(菩提樹)
シン(ライオン)のチェーディー(仏塔)横には、大きく立派なトンポー(菩提樹)が数多くあり、それぞれに小さな仏像を配置して仏陀が悟りを開いた場面を表現しているようになっています。
7:トンタキアン
女の子の霊魂が樹に宿っているといわれており、信仰の対象になっています。寺院でお土産を販売している女性の方に聞くと、この樹木は2011年の大洪水の時に「ワットメーナーンプルーン」に流れてきたそうです。
「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」の雰囲気は?
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「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」への行き方
国鉄アユタヤ駅からは少し距離が離れており、レンタルサイクルで行くこともできますが、交通量の多い道を通りますのでトゥクトゥクを利用して行かれることをおすすめします。
トゥクトゥクを利用する場合
国鉄アユタヤ駅から片道150バーツで行くことができますが、世界遺産「古都アユタヤ」の主要遺跡である「ワットマハタート」などの近くを通りますので、3時間600バーツほどで貸切って周辺の観光をすることをおすすめします。
筆者が訪れた際にも、タイ人の方がトゥクトゥクで来られていました。
レンタルサイクルを利用する場合
渡し舟でアユタヤ旧市街に入り、1日50バーツでレンタルサイクルを借りて「ワットマハタート」を目指します。「ワットマハタート」の交差点に着いたら、そのまま右折して道なりに直進すると、左側に「ワットラチャブラナ」、「ワットプラッパーチャイ」、「ワットスワンナーワ」の順で遺跡が見えます。
「ワットスワンナーワ」の交差点も直進して、道なりに約1kmほど行くと左側に小さな駐車場があり、「ワットメーナーンプルーン」に到着です。
名称 | ワットメーナーンプルーン |
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名称(英) | Wat Mae Nang Plum |
営業時間 | 08:00~17:00 |
拝観料 | なし |
住所 | Khlong Sa Bua, Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000 |
その他、豆知識
遺跡や寺院へ行くときの服装について
Sasin TipchaiによるPixabayからの画像
タイで遺跡や寺院へ行く際の服装は、アユタヤでは余りいわれることは少ないですが、バンコクの「ワットプラケーオ」などの場合、「Tシャツに短パンといったラフ過ぎる格好」の場合、タイ文化(仏教)への畏敬の念がないといった意味で、入場を断られることがあります。
特に女性の場合、伝統上、足や肌を露出するのは良くないこととされており、「パトゥン」といわれるパレオのようなスカートを履くことを勧められますので、寺院や遺跡に行かれる時には、日焼け対策も兼ねてジーンズとポロシャツなどで行かれることをおすすめします。
最近の天気
引用:Pixabay
筆者がタイに赴任した数年前は、11月~5月初旬頃までが乾季、5月中旬から10月末頃までは雨季といった感じで、ハッキリと季節が分かれていました。
特に雨季の雨は日本の梅雨のような一日中、しとしと降ることはなく、スコールで1~2時間ほど降ってカラッと晴れるといった感じでしたが、ここ1~2年は乾季でも雨が降ったり、雨季でもスコールが少なかったりと、以前とはかなり違ってきています。
4月はソンクラン(水掛け祭)があり、タイへ旅行に来られるかたも増えると思いますが、少し荷物になりますが日傘替わりになる折り畳み傘を持参されることをおすすめします。
まとめ
アユタヤ旧市街の島の外、北東部にある「ワットメーナーンプルーン(Wat Mae Nang Plum)」をご紹介しました。
アユタヤ王朝第21代ナレースワン王の伝説の残る厳かな雰囲気の現存仏教寺院で、寺院の門をはじめ、アユタヤ王朝時代に作られたチェーディー(仏塔)や白い仏像である「ルアンポーカオ」など見どころが多いですが、ガイドブックにも載っていないため、外国人観光客は殆ど来ることのない穴場的なスポットです。
遺跡の集中する島の外ですが、思ったほどは遠くありませんので、アユタヤに来た際には、足を延ばしてみることをおすすめします。
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