ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)/ 1767年のアユタヤ王朝滅亡時、ビルマ軍の侵入を許した要塞近くにあった仏教寺院


     
アユタヤ旧市街の島内、東側にある「チャンカセーム国立博物館」の隣には大きな公園があり、アユタヤ市民の憩いの場にもなっていますが、その中に修復、復元された遺跡が残っています。
   
公園内にあるため、Googleマップにも掲載されていない小さな仏教寺院遺跡ですが、白いメインチェーディー(仏塔)と礼拝堂などの基礎が残っています。
   
今回は「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」をご紹介します。
    
   

「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」とは?

     

   
アユタヤ旧市街の島の中、東側に位置し、近くには「チャンカセーム国立博物館」や「フゥアロー市場」などがあり、人の往来の多い場所にある仏教寺院遺跡です。
 
白く塗装されたメインチェーディー(仏塔)と礼拝堂跡、周辺にはレンガ壁の跡が残っており、またアユタヤ王朝時代にはパーサック川からの敵侵入を防ぐための要塞が隣にあったといわれています。
 
他の遺跡同様、正確な建立時期や理由などは分かっていませんが、建築物の特徴とアユタヤ王朝年代記に記載されている伝承から、アユタヤ王朝初期から中期にかけて建立されたと考えられています。
 
以前、ご紹介した「ワットクンセーン」「ワットノック」と同様に、アユタヤ王朝第21代「ナレースワン王」が王子だった際、ビルマ(現在のミャンマー)からの謀略を切り抜けた時の物語に関係する由緒ある寺院で、アユタヤ王朝年代記にも、その名が記されています。
    
      

      
「ナレースワン王」の王子時代、アユタヤ王朝はビルマ(現在のミャンマー)のタウングー王朝支配下にあり、独立を勝ち取るために進軍したところ、ビルマ軍1万人による待ち伏せとアユタヤ王朝軍内部の裏切りにより、ナレースワン王子を亡き者にしようとする謀略が画策されました。
      
アユタヤ王朝軍を裏切る予定だったモン族の指導者が、駐屯地となった寺院にいた高僧「聖テラカーンチョン」に相談をしたことから、暗殺計画が明るみにでて謀略は潰え、ナレースワン王子が率いるアユタヤ軍は見事にビルマ(現在のミャンマー)に勝利し、独立を勝ち取ったといわれています。
     
その後、ナレースワン王子の父であるアユタヤ王朝第20代「マハータンマラーチャーティラート王」が、モン族に、この近隣に住むことを許したという記述が残っています。
      

     
また1767年のビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻で、アユタヤ王朝が滅亡しますが、その際にも「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」の名前が出てきます。    
     

    
「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」の横にはパーサック川と運河が流れており、アユタヤ王朝時代、ここには外敵を防ぐための要塞があったといわれています。
   
1767年のアユタヤ王朝滅亡の年、ビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻時に、ビルマ軍は運河を横断する堤防を築き、要塞に続く壁沿いの地下にトンネルを掘り進めてから、壁に火を放って意図的に火災を起こしました。

そのことが原因で壁が倒壊してしまい、ビルマ軍がアユタヤ都市内部へ進軍したという伝承が残っており、歴史的にも重要な仏教寺院遺跡といえます。
 

   
    

「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」の見どころは?

1:礼拝堂跡

   

  

  

    
寺院の西側に位置するのが礼拝堂跡で、現在はレンガの基礎が四角く残っているのみで、一番奥には祭壇が残されていますが、特に破壊された仏像などの遺物は残っていません。
 

2:サブチェーディー(仏塔)跡

   

   
メインチェーディー(仏塔)の傍には、小さなサブチェーディー(仏塔)の基礎が残っており、その上に十字に組まれたレンガが乗っています。

四角い基礎は、アユタヤ王朝初期~中期の遺跡によく見られるタイプで、この「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」の建立時期を特定する手掛かりにもなっています。
 

3:レンガ壁の跡

   

   

    
寺院をグルっと取り囲むように低いレンガ壁が残っており、アユタヤ王朝当時は立派な寺院だったことが想像できます。
   

4:メインチェーディー(仏塔)

   

  

  

  

  

     
四角い基礎の上に八角形の基礎が乗り、その上に釣り鐘型の本体がのっているというアユタヤ王朝初期~中期の遺跡に見られる特徴を備えていますが、北側には仏像を納めた祠が配置してあり、チェーディー(仏塔)に祠が配置してあるものは余り見ることがないタイプです。
 
    

「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」の雰囲気は?

   
    

     
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「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」への行き方

「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」はアユタヤ旧市街の島内の東側にあり、周回道路である「Uthong Rd(ウートンロード)」沿いに位置するため、トゥクトゥクやレンタルサイクルなどで簡単にアクセスすることができます。
      

1:トゥクトゥクを利用する場合

国鉄アユタヤ駅から片道150バーツで行くことができますが、近くには「ワットクンセーン」「ワットターサイ」などもあり、世界遺産「古都アユタヤ」の主要遺跡までも近いため、4時間800バーツほどで貸切った方がお得です。
   
ただGoogleマップにも掲載されておらず、申請して承認されたばかりなので、トゥクトゥクの運転手の方は知らない可能性がありますので注意が必要です。
     

2:レンタルサイクルを利用する場合

国鉄アユタヤ駅から渡し舟で旧市街に渡り、「December House」っで1日50バーツでレンタルサイクルを借ります。
   
目の前のアユタヤ島周回道路である「Uthong Rd(ウートンロード)」を右折して、そのまま道なりに約1.3kmほど進むと左側に白い城壁が見え「チャンカセーム国立博物館」に到着します。その横に公園には見えない建物の入口があり、到着です。
 
入口が分かり難いので「チャンカセーム国立博物館」に着いたら、自転車を押して歩いた方が良いと思います。
 
    

   
    
    
        

名称 ワットカーミン
名称(英) Wat Khamin
名称(タイ語) วัดขมิ้น
営業時間 08:00~17:00
拝観料 なし
住所 Phra Nakhon Si Ayutthaya District, Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000

     
    

まとめ

   

        
アユタヤ旧市街の島内、東側にある「ワットカーミン(วัดขมิ้น・Wat Khamin)」をご紹介しました。公園の中にあり、幹線道路からは見えない場所にあるため、観光客の方は、その存在も知らない遺跡だと思います。
 
ただ歴史的にはアユタヤ王朝が滅亡する出来事に、最も関係する仏教寺院遺跡なので、アユタヤ観光の途中に寄ってみては如何でしょうか。
   
 
     
      
      



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