ワットクンセーン(Wat Khun Saen)/ 拡張途中で破棄された、非常に珍しいチェーディー(仏塔)がある仏教寺院遺跡


   
ご紹介する「ワットクンセーン(Wat Khun Saen)」は、アユタヤ旧市街の島内北東部にあり、周回道路である「Uthong Rd(ウートンロード)」沿いにひっそりと佇んでいます。
   
寺院の敷地内には、拡張工事中で放棄された大きなチェーディー(仏塔)をはじめ、破壊された仏像が安置された礼拝堂や道沿いにある小さなチェーディー(仏塔)、さらに大きく立派なトンポー(菩提樹)を見ることができます。
   
今回は、古式ムエタイを創始したといわれるアユタヤ王朝第21代、ナレースワン王の物語に関係する「ワットクンセーン(Wat Khun Saen)」をご紹介します。
   
   

「ワットクンセーン(Wat Khun Saen)」とは?

    

   
アユタヤ旧市街の島内北東部にある仏教寺院遺跡で、大きく珍しいチェーディー(仏塔)をはじめ、礼拝堂跡や大きく成長したトンポー(菩提樹)があり、思った以上に見応えがあります。
  
他の遺跡同様、詳しい建立時期などは分かっていませんが、古式ムエタイを創始したといわれるアユタヤ王朝第21代「ナレースワン王」に縁のある仏教寺院遺跡といわれており、「アユタヤ王朝年代記」には1584年に初めて寺院名が記載され、その後の詳しい物語が記載されています。
 
 

   
ナレースワン王が王位に就く以前、王子だった時に、ビルマ(現在のミャンマー)から独立を勝ち取るために進軍しましたが、王子の軍内部にはビルマのタウングー王朝バインナウン王の息のかかったものが入り込んでいました。
    
「プラヤーキアト(Phraya Kiat)」、「プラヤーラム(Phraya Ram)」という2人のモン族の軍が、潜んでいるビルマ軍1万人と共に、ナレースワン王子の軍を側面から急襲する予定でしたが、高僧である「聖テラカーンチョン」の働きかけにより、ナレースワン王子、Phraya Kiat、Phraya Ram、聖テラカーンチョンの4人での会談が行われ、裏切りによる策略を防ぐことができ、その後、アユタヤ王朝がビルマからの独立を勝ち取ったといわれています。
    
この策略を防いだモン族の2人の功績に報いるため、ナレースワン王子の父、アユタヤ王朝第20代「マハータンマラーチャーティラート王」から、家族や親せきを含めた身柄の保護と「ワットクンセーン」の近隣地域に住むことを許されたといわれています。
    

  
    
その後、1767年のビルマによる軍事侵攻で破壊されましたが、現チャクリー王朝のラーマ4世によって、寺院の復元とチェーディー(仏塔)の拡大工事が行われましたが、完成前に王が崩御され、工事中のまま放棄されて現在に至ります。
    
    

「ワットクンセーン(Wat Khun Saen)」の見どころは?

1:礼拝堂跡

  

   

    
         
寺院正面にあるのが「礼拝堂跡」で、建物を支えていた柱の土台が残っており、大きな礼拝堂だったことが分かります。また正面入口が東側ではなく北側を向いており、アユタヤの仏教寺院遺跡の中でも珍しい配置となっています。
  

   

   

     
奥側には黄色い袈裟を巻かれた破壊された仏像の一部が5体並んで安置されており、その前には、お参りのための祭壇が配置されています。礼拝堂の内部は、綺麗に掃除されていて周辺住民の方が管理されているようでした。
    

2:礼拝堂横のチェーディー(仏塔)跡

  

   

    
礼拝堂の左右にはチェーディー(仏塔)の基礎部分のみが残っており、アユタヤ王朝時代には礼拝堂を囲むような配置で、他にもチェーディー(仏塔)があったような感じです。
    
片側のチェーディー(仏塔)跡には、近隣住民の方が酒盛りをするためのイスやテーブルなどが置いてあり、遺跡に対する尊敬の念はないようで非常に残念でした。
   

3:メインチェーディー(仏塔)

  

  

  

    
この巨大なメインチェーディー(仏塔)は、現チャクリー王朝のラーマ4世によって拡張工事を行っていましたが、王が崩御されたことでプロジェクトが中止され、工事途中で放棄されています。

丸い釣り鐘型の上部を作る途中で止まっており、内部の最初のチェーディー(仏塔)も部分的に見ることができるため、こんな風に拡張するんだと関心すること間違いなしです。

恐らくですが、以前ご紹介した「ワットジョンコム」の二重構造のチェーディー(仏塔)も、同様に拡張したのかも知れません。
     

    

     
また望遠レンズで見て、気が付いたのですが、チェーディー(仏塔)の最上部に、正面にはナーガを従えた仏陀、その他の方向には兵士のような恰好をした仏像が安置されており、これも風合い的には結構古いものだと思います。
 

4:道路沿いの崩落したタイ様式のチェーディー(仏塔)

   

   

   

    
寺院正面右側の道路沿いには、崩落したタイ様式のチェーディー(仏塔)があります。原型を留めていませんが、黄色い袈裟が巻かれており、こちらも信仰の対象になっていることが分かります。
   

5:寺院裏側の仏像

   

    

     
寺院正面左側奥にタンブンで作られたと思われる祠があり、仏像や闘鶏、ゾウの像などが安置されています。ナレースワン王にちなんでか、闘鶏の置物があるのは不思議な感じでした。
    

6:トンポー(菩提樹)

    

   

   

   
敷地内には大きく立派なトンポー(菩提樹)があり、特に大きく立派なのが寺院正面左側と、裏側にある2本でメインチェーディー(仏塔)の壁面を侵食しており、長い悠久の時を感じることができます。
   
   

「ワットクンセーン(Wat Khun Saen)」の雰囲気は?

  
  

  
  
       
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「ワットクンセーン(Wat Khun Saen)」への行き方

   

   
「ワットクンセーン(Wat Khun Saen)」は、アユタヤ旧市街の島内の周回道路である「Uthong Rd(ウートンロード)」沿いにあり、レンタルサイクルやトゥクトゥクを利用して行くことができます。
    

トゥクトゥクを利用する場合

  
国鉄アユタヤ駅からトゥクトゥクを利用する場合、片道100~150バーツで行くことができます。周辺には他にも小さな遺跡やローカル市場などがあり、お土産から雑貨まで購入することが可能で、さらに数分走ると「ワットスワンナーワ」をはじめ、世界遺産「古都アユタヤ」の主要遺跡群に行けますので3時間600バーツほどで貸切って行かれることをおすすめします。
 

レンタルサイクルを利用する場合

渡し舟でアユタヤ旧市街に入り「December house」で1日50バーツでレンタルサイクルを借ります。路地の正面が周回道路の「Uthong Rd(ウートンロード)」なので、右折して真っすぐ約2km、時間にして約10分ほど進めば到着です。
    
   
 
   
  

名称 ワットクンセーン
名称(英) Wat Khun Saen
営業時間 なし
拝観料 なし
住所 85/2 Wat Senasanaram, Tambon Tha Wa Su Kri, Amphoe Phra Nakhon Si Ayutthaya, Chang Wat Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000

  
  

その他、豆知識

タイの駐車場事情

 
   

   
タイで外国人が自家用車を購入する場合、特に制限などはなく自分の名義として購入することができます。日本では購入時に「車庫証明」が必要になると思いますが、タイには、そういった概念が一切ないため、煩雑な書類などは必要ありません。

なので自宅の駐車場に停めるという考えも余りない方が多く、自宅の敷地を広く使うために路上駐車が一般的になっています。
 
実際、「ワットクンセーン」にも寺院の裏側に駐車場があるのですが、近隣住民の方が全て駐車していて使うことができませんでした。
 
この路上駐車のため、救急車が通れず社会問題化することがありますが、暫くするとまた路上駐車が始まるといった感じです。
 
もしタイで自動車を運転することがある場合には、緊急車両のことも考慮し、可能な限り駐車場に停めるようにして下さい。
   
   

まとめ

   

    
アユタヤ旧市街の島の中、北東部にある「ワットクンセーン」をご紹介しました。島内周回道路である「Uthong Rd(ウートンロード)」沿いにあり、直ぐに見付けることができるため、足を運び易いと思います。

先にもご紹介しましたが、拡張途中で放棄されたメインチェーディー(仏塔)は、アユタヤの遺跡群の中でも、この「ワットクンセーン」でしか見ることができませんので、是非、足を延ばしてみて下さい。
 
 
 
    





      
    
   

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