ご紹介する「ワット シンハーラム(Wat Singharam)」は、以前にご紹介した「ワット ボーロープッタラム」の運河を挟んだ反対側にあり、礼拝堂と2つの連なったチェーディー(仏塔)がある仏教寺院遺跡です。
こちらも「アユタヤ ラチャパット大学(Phranakhon Si Ayutthaya Rajabhat University)」の敷地内にあるため、ここに遺跡があることも知らない人が殆どだと思います。
今回は、グーグルマップにも詳細の載っていない、小さな仏教寺院遺跡である「ワット シンハーラム」をご紹介します。
「ワット シンハーラム(Wat Singharam)」とは?
アユタヤ旧市街の南側、「ワット ボーロープッタラム」の反対側にあり、この寺院が建立された時期や背景などは文献が残っていないため分かりませんが、アユタヤ王朝中期に建立されたいわれており、寺院の名前にもある「シンハー」は、タイ語で「獅子(ライオン)」という意味で、別名「ライオンの修道院」とも呼ばれていました。
また礼拝堂の入口付近から、建物の漆喰装飾に中国製の磁器の欠片が使われているのが発見され、アユタヤ王朝後期、第34代のボーロマコート王の統治時代に修復されたと考えられています。
これはボーロマコート王の時代に修復されたとされる他の遺跡からも同様の装飾が見付かっていることが根拠になっています。
寺院は礼拝堂と2つの釣り鐘型のチェーディー(仏塔)で構成されていましたが、他の遺跡同様1767年のビルマ(現在のミャンマー)からの軍事侵攻によって破壊され、今の姿となっています。
「ワット シンハーラム(Wat Singharam)」の見どころは?
1:礼拝堂と破壊された仏像
「ワット シンハーラム(Wat Singharam)」の礼拝堂の壁には、アユタヤ遺跡にある礼拝堂などでよく見られるような「窓」が無く、格子状の明り取りが配置してあるだけとなり、珍しい作りになっています。
また礼拝堂の周辺にも柱を設置していたような、土台の基礎が回廊状に残っており、ビルマからの軍事侵攻以前は屋根などがあったのではないかと想像できます。
礼拝堂内部には、破壊された仏像が東側に安置されていますが、残念ながら大学の敷地内ということもあるのか、参拝に訪れる方はいないようでした。
2:釣り鐘型のチェーディー(仏塔)
礼拝堂跡の東側に、2つのチェーディー(仏塔)が並んで配置されており、頂上部分が現存していないので正確ではありませんが、釣り鐘型の形状からスコータイ様式のチェーディー(仏塔)だと思われます。
このように2つのチェーディーが東から西へ、一直線に並んで配置されている遺跡は、ここ以外にアユタヤ遺跡ではないと思います。アユタヤ王朝の建立時には、この配置に何らかの意味があったのでしょうが、今ではそれを知る術はありません。
「ワット シンハーラム(Wat Singharam)」に行くには?
アユタヤ旧市街の南側に位置しており、以前にご紹介した「ワット プラーシーサンペット」や「ワット プララーム」から真っすぐチャオプラヤー川方向に向かい「ワット ボーロープッタラム」から大学構内に入らせてもらえば、目の前に見える遺跡です。
国鉄アユタヤ駅を起点にする場合
1:トゥクトゥクを利用
国鉄アユタヤ駅から片道80バーツで、直ぐ近くにある「アユタヤ病院」まで行くことができますので、ここから徒歩でも約5分ほどで到着することができます。
2:レンタルサイクルを利用
国鉄アユタヤ駅側から渡し舟で、アユタヤ旧市街へ渡り、レンタルサイクルを借りて行くこともできます。アユタヤ旧市街の周回道路「Uthong Rd」から、幹線道路である国道309号線を西に直進すると、「Ayutthaya National Art Museum」の突当りに到着しますので、左折して約200mで左側に「ワット ボーロープッタラム」が見えますので、そこから大学構内へ入れば、到着です。
時間的には約20分ほどの道のりとなります。
その他、豆知識
アユタヤ遺跡について
今回、ご紹介した「ワット シンハーラム(Wat Singharam)」のように、小さな遺跡はアユタヤ旧市街だけでなく、島の外などにも数多く見ることができます。きちんと歴史的資料が残っていて、その素性が分かるものから、全く名前まで分からないものまで数え切れないほどです。
ただ最近は、タイ政府からの支援があるのか、小さな遺跡にも上の写真のような概要を記したプレートが設置されていますので、有名な遺跡以外も気軽に見て廻れるように観光誘致に力を入れているようです。
アユタヤ観光に来られた際には、日帰りではなく2泊3日ほど掛けて、ゆっくり散策してみては如何でしょうか。
まとめ
アユタヤ王朝中期に建立されたといわれる「ワット シンハーラム(Wat Singharam)」、「ライオンの修道院」をご紹介しました。
大学構内となるので、入口にいるガードマンの方に「パイ ドゥ カンナイ ダイマイ?(中を見てもいいですか?)」と声を掛けておけば、問題なく見学できますので忘れないようにして下さい。
こんな感じの小さな遺跡は、筆者の知らないものも含めると、かなりの数がありますので、一度、探してみては如何でしょうか。
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