ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)/ 美しく装飾された新しい礼拝堂とアユタヤ王朝時代の遺跡が混在する現存仏教寺院


   
アユタヤ旧市街の島の外、南側に位置する「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」は、チャオプラヤー川沿いにあり、東の対岸には「ワットパナンチューン」、旧市街側の対岸には「ポンペット要塞」を望むことができる場所にあります。

現在もお坊さんが修行をされており、アユタヤ王朝年代記などにも、その名称が出てくる古くから続く仏教寺院です。

現在は礼拝堂などが新しくなっており、今現在では、王朝当時の様子を伺い知ることはできませんが、境内には当時の建物の一部が残されています。

今回は、南側にある「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」をご紹介します。
   
     

「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」とは?

    

   
アユタヤ王朝当時は「ワットバーンカチャ」と呼ばれていましたが、現在は礼拝堂などの寺院施設が1976年に新しく作り直されているため、タイ語の「新しい」という意味である「マイ」という言葉が名称に追加されて「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」となっています。
   
境内には新しく美しい装飾を施された礼拝堂をはじめ、アユタヤ王朝当時の古いチェーディー(仏塔)や珍しいランナ様式のメインチェーディー(仏塔)、説教堂などがあり、他の遺跡同様に東側から西側へ向かって作られていて、正面入口はチャオプラヤー川沿いになります。
   
アユタヤ王朝年代記には、アユタヤ王朝第18代「チャクラパット王」の時代に、ビルマ(現在のミャンマー)がアユタヤに軍事侵攻した際、チャオプラヤー川を挟んだ北側にある「ポンペット要塞」を攻略するため、ビルマ軍の駐屯地となっていたことが記載されています。
     
他の遺跡同様、建立された正確な時期や理由などは分かっていませんが、寺院中心にある「ランナ様式のメインチェーディー(仏塔)」や、上記の記述からアユタヤ王朝初期から中期にかけて建立されたと考えられています。
    
   

「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」の見どころは?

1:寺院前のアユタヤ王朝後期のサブチェーディー(仏塔)

   

   

  
寺院の入口前には、アユタヤ王朝後期によく見られる多角形型をしたサブチェーディー(仏塔)が1基だけあり、最も高い頂上部分まで綺麗に修復されています。
     
筆者もアユタヤにある寺院や遺跡を100ヵ所以上、回っていますが、多角形型チェーディー(仏塔)の頂上部分を見たことがなく、修復されているとはいえ、初めて見ました。
     
ちょっとマニアックな感じですが、これは必見だと思います。
       

2:寺院入口の門

    

     

   

     
寺院はレンガ壁で囲まれており、敷地内に入るには2つの入口がありますが、綺麗な門として現存しているのは、寺院正面の門だけで、綺麗な漆喰の花のレリーフが残っており、美しい姿を見せてくれます。
      

3:新しい礼拝堂

   

   

   

   

         
寺院の門をくぐると、正面に見えるのが1976年に新たに作り直された礼拝堂で、正面階段横には大きな仏像があり、さらに階段の手すりには龍が配置されています。
    

    
これだけではなく、礼拝堂の屋根部分には、女神というのか天使というのか分かりませんが、仏教的な彫刻が多数配置されていて非常に美しく、これだけ装飾をした寺院はアユタヤには余りない気がします。
    

   

      
また梁の部分には、神鳥ガルーダに乗ったビシュヌ神のレリーフが配置してあり、こちらも美しいので必見です。
     

4:金色の大きな仏像

   

   

   

      
礼拝堂の中には、大きな仏像が安置されており、多くの金箔が貼られていて、敬虔なタイ人の方の信仰の対象となっていることが分かります。
   

            
またその仏像の後ろの壁にも仏像のレリーフが配置されており、床に近い場所は苦悶の表情をした人々のレリーフ、上部には仏像のレリーフという感じで、何らかの仏教的な意味合いを持たせているようです。
     

5:アユタヤ王朝時代の仏像の頭部

   

   

   

   

     
礼拝堂を入口から見て、左側の奥に進むと一般の方のお墓が並んでおり、その奥側にアユタヤ王朝当時の仏像の頭部が残っていて祭壇に祀られています。
    
鼻の部分が修復されていますが、綺麗で穏やかな表情をされていて見ていて優しい感じのする仏像のお顔なので、是非、見てみて下さい。
     

6:アユタヤ王朝時代の礼拝堂の壁と破壊された仏像

   

  

    
先にご紹介した新しく再建された礼拝堂の後ろ側に、アユタヤ王朝時代の古い礼拝堂の壁が部分的に残っています。小さく開いた明り取りの窓には、漆喰が残っていてアユタヤ王朝当時は小さいながらも綺麗に装飾された礼拝堂だったことが分かります。
   

   

     
礼拝堂の壁の前には3体の仏像があり、以前にご紹介した「ワットプラヤコン」の修復された仏像と同じように、ビルマ軍によって破壊されたものを部分的に使用して、綺麗に修復されています。
    

   

   

    
またその周辺にも多くの仏像の破片が祀られています。
    

7:ランナ様式のメインチェーディー(仏塔)

    

   

     
礼拝堂の西側にあるのが「ランナ様式のメインチェーディー(仏塔)」で、タイの北部であるチェンマイやチェンライにあったとされるランナ王国の流れを汲むといわれ、アユタヤの遺跡で厳密に同様のランナ様式のチェーディー(仏塔)が残っているのは北部の「ワットケー」に残る増築中に破棄されたメインチェーディー(仏塔)と、この「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」だけだと思います。
        
※ランナ様式の流れを汲むといわれているものは幾つかあり、アユタヤ中央部にある「ワットサンカパット」「ワットポム」などがあります。
  

   

    
四角い基礎の上に多角形型の基礎があり、その上に円錐形の多段式になったメインチェーディー(仏塔)本体がのるという感じで、アユタヤ遺跡で目にする釣り鐘型のスリランカ様式とは明らかに異なることが分かります。
   

8:説教堂

  

   

    
ランナ様式のメインチェーディー(仏塔)の後ろ側にあるのが、説教堂で、こちらは周辺に聖域を示すセーマーが配置されており、神聖な場所とされていますが、一般には公開していないようで、筆者が訪れた際にも扉に鍵が掛かっていて入れませんでした。
     

9:アユタヤ王朝時代のサブチェーディー(仏塔)

   

   
寺院入口の左側には、一般の方のお墓がずらりと並んでおり、その奥側に少し小さなサブチェーディー(仏塔)があります。
     
ただ近くで見るためには、お墓の敷地内に入る必要があり、正直、行き難かったので遠目からの写真だけとなりますが、漆喰のレリーフなどが残っており、場所的に問題なければ、まじまじと見ていた気がします。
   
  

「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」の雰囲気は?

   
  

   
    
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「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」への行き方

   

   
「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」はアユタヤ旧市街の島の外、南側に位置し、交通の便が悪い場所にあるため、国鉄アユタヤ駅からであればトゥクトゥクを利用されることをおすすめします。
   
「サイトーンレストラン」横から出る、渡し舟を使えば、レンタルサイクルでも行くことができますが、帰りのことなどを考慮すると、おすすめできません。
    

トゥクトゥクを利用する場合

国鉄アユタヤ駅からであれば、片道200バーツで行くことができますが、周辺には以前にご紹介した「ワットナーンクイ」やアユタヤ王朝を創設したウートン王が住んだといわれる「ワットプッタイサワン」や禅寺のような雰囲気が漂う「ワットプラヤコン」などがありますので、3時間600バーツほどで貸切って回った方がお得です。
   
     

   
     

名称 ワットマイバーンカチャ
名称(英) Wat Mai Bang Kaja
名称(タイ語) วัดบางกระจะ
営業時間 08:00~17:00
拝観料 なし
住所 Highway 3469, Sam Phao Lom, Amphoe Phra Nakhon Si Ayutthaya, Chang Wat Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000

    
     

まとめ

   

   
アユタヤ旧市街の島の外、南側にある「ワットマイバーンカチャ(วัดบางกระจะ・Wat Mai Bang Kaja)」をご紹介しました。
     
チャオプラヤー川沿いにあり、「ワットパナンチューン」「ポンペット要塞」などを望む静かな場所にあり、珍しいランナ様式のメインチェーディー(仏塔)などがあり、観光客も、その存在を知らないため、のんびりと散策することができる寺院です。
    
南側に行かれる場合には、是非、足を延ばしてみて下さい。
   
    
     
     



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