ご紹介する「ワットクンムアンチャイ」はアユタヤ旧市街、島内を東から西に抜けるメイン道路である「Rochana Rd(ロチャナロード)」沿いにあり、倒壊した大きなチェーディー(仏塔)をはじめ、礼拝堂、叙階ホールなど見所がギュッと凝縮された遺跡でもあります。
自動車を運転していると必ず目に入るのですが、幹線道路沿いということもあり、中々、ツアーなどでの観光客の方は行くことがない遺跡で、筆者が訪れた際にも誰も見学している方はいませんでした。
今回はアユタヤ旧市街にあり、あることは分かっていても足を運び難い「ワットクンムアンチャイ(Wat Khun Mueang Chai)」をご紹介します。
「ワットクンムアンチャイ(Wat Khun Mueang Chai)」とは?
「ワットクンムアンチャイ」は、アユタヤ旧市街を東から西へ縦断する「Rochana Rd(ロシャナロード)」沿いにあり、大きなチェーディー(仏塔)や礼拝堂など、見所がギュッと詰まった遺跡ですが、観光客の方を見ることは少ない遺跡です。
他の遺跡同様、寺院に関する資料などは、1767年のビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻により失われてしまい、正確な建立時期や理由などは分かっていません。
ただ遺跡調査によってアユタヤ王朝のごく初期、若しくはアユタヤ王朝が勃興する前に作られたのではないかと考えられています。
寺院は東側に小さな礼拝堂、中心に大きなチェーディー(仏塔)、西側に寺院跡が配置され、その建物周辺を小さなチェーディー(仏塔)で取り囲んでいるような作りになっています。また西側の寺院跡の奥、少し奥に入った場所に叙階ホールのような建物があります。
「ワットクンムアンチャイ(Wat Khun Mueang Chai)」の見どころは?
1:東の小さな礼拝堂
東側の寺院入口にある「小さな礼拝堂」には破壊された数多くの仏像が安置されていますが、修復などはされていないため、1767年のビルマによる軍事侵攻の激しさが良く分かります。
また礼拝堂の北側の壁面には大きく立派なトンポー(菩提樹)によって浸食されており、壁が倒れないように補助の支柱が設置してあります。また黄色い袈裟が巻き付けられていてご神木となっており、「ワットマハタート」にある仏像の頭部を包んでいるトンポーよりも大きく、圧巻です!
2:メインチェーディー(仏塔)
「ワットクンムアンチャイ」の中心部にあるチェーディー(仏塔)は、巨大な四角い基礎の上に釣鐘型の本体が載っている形状をしているアユタヤ王朝初期の特徴を備えています。
残念ながら、仏塔本体の半分は倒壊しており、残っていませんが十分に見応えのある巨大なメインチェーディー(仏塔)です。
また東側の基礎側面には、漆喰で作られた仏像のレリーフが2体施してあり、お顔の部分は破壊されていますが、当時の美しさを垣間見ることができます。
3:西の寺院跡
敷地の西側には寺院の跡があり、この寺院跡の周辺には10基の小さな仏塔が配置されています。東側には破壊された仏像の一部が安置されており、後ろに見えるメインチェーディー(仏塔)とのコントラストが見事です。
また、この寺院跡周辺には10基の小さな仏塔が配置されており、幹線道路沿いの1基のみが形状を維持していますが、基礎部分から傾いており、そのうち倒壊してしまうのではないかと思うほどです。
4:寺院を取り囲む破壊されたチェーディー(仏塔)
東の礼拝堂側にも、左右各4基づつの破壊されたチェーディー(仏塔)があり、寺院全体をチェーディー(仏塔)で囲んでいるような配置になっています。
残念ながら全てのチェーディー(仏塔)が破壊されており、その原型を留めていませんがアユタヤ王朝時代には、立派な寺院だったことが分かります。
叙階ホール
寺院の北西側、西の寺院跡の奥に「叙階ホール」があります。外壁にはアーチ型の窓が配置してあり、中央の1ヵ所だけ人が入れるように少し大きく作られています。叙階ホールの中は、この雨の全く降らない乾季でも緑豊かな芝が自生しており、筆者も少し驚きました。
東側には祭壇があり、上部に破壊された仏像が安置してあります。
「ワットクンムアンチャイ(Wat Khun Mueang Chai)」の雰囲気は
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「ワットクンムアンチャイ(Wat Khun Mueang Chai)」へ行くには?
国鉄アユタヤ駅から「ワットクンムアンチャイ(Wat Khun Mueang Chai)」に行くには、トゥクトゥクかレンタルサイクルを利用して行くことができますが、近隣にある「ワットマハタート」や「ワットラチャブラナ」などを気軽に回ることを考えるとレンタルサイクルを利用することをおすすめします。
レンタルサイクルを利用する場合
国鉄アユタヤ駅から、渡し舟でパーサック川を渡り、アユタヤ旧市街に入ります。アユタヤ島の周回道路へ出る手前に「December house」というホテルがあり、そこで1日100バーツでレンタルサイクルを借りることができます。
「December house」でレンタルサイクルを借りたら、そのままアユタヤ島の周回道路である「Uthong Rd(ウートンロード)」を左に進みます。約600mほど直進するとアユタヤ旧市街に入る橋のたもとに着きますので、これを右折して幹線道路である「Rochana Rd(ロチャナロード)」に出て約1kmほどで右側に「ワットクンムアンチャイ」が見え、到着です。
名称 | ワットクンムアンチャイ |
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名称(英) | Wat Khun Mueang Chai |
営業時間 | なし |
拝観料 | なし |
住所 | Tambon Pratuchai, Amphoe Phra Nakhon Si Ayutthaya, Chang Wat Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000 |
その他、豆知識
アユタヤの遺跡はなぜ焼けているものが多いのか?
引用:Pixabay
アユタヤの主要な遺跡をはじめ、筆者がご紹介しているような小さな遺跡まで、チェーディー(仏塔)や建物まで、黒く炭のように焼かれた跡があるものが多々あります。
筆者も最初は、軍事侵攻時の火事が原因だと思っていましたが、実はアユタヤ王朝時代の建築物には金で装飾されていたものが数多くあったため、これを剥がすために火を放って溶かして持ち去ったというのが、本当の話しらしいです。
確かに金の融点は約1,070℃ほどなので、ロウソクなどの温度に近いため、理論上は可能なことだと思います。
こういったまめ知識があるとアユタヤ遺跡群を見るとき、違った視点で見れるかも知れません。
まとめ
アユタヤ旧市街の幹線道沿いにある「ワットクンムアンチャイ(Wat Khun Mueang Chai)」をご紹介しました。交通量の多い幹線道路沿いなため、ツアーバスなどが停まらないため、見ることはできるけど、中々、行くことができない仏教寺院遺跡でもあります。
実際、筆者も「ワットクンムアンチャイ」があることは知っていましたが、駐車することもあり、寄ることを避けていた場所でもあります。ただ行ってみると、思った以上に見どころの多い遺跡で、改めてアユタヤの遺跡巡りを楽しいと思ったほどです。
整備するためにレンガなどを準備している最中でしたので、今後、公園のようになるのだと思いますが、一度、足を運んでみては如何でしょうか。
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