「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」は、アユタヤ旧市街の中心部の北側、島内の周回道路である「Uthong Rd(ウートンロード)」沿いにあり、ランナ様式のメインチェーディー(仏塔)をはじめ、やアユタヤ王朝時代の要塞跡や大小さまざまなチェーディー(仏塔)などが残る現存寺院です。
以前、ご紹介した「ワットスワンナーワ」の隣にあり、パッと見た感じでは遺跡が残っているようには見えないので、観光客の方は見逃しがちなのですが、意外に見どころの多い場所でもあります。
今回はアユタヤ旧市街の中心部から800mほど北側にある「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」をご紹介します。
「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」とは?
アユタヤ旧市街の中心部、有名観光地である「ワットマハタート」から北側に約800mほどの場所にある現存寺院で、敷地の奥には古いランナ様式のメインチェーディー(仏塔)をはじめ、大小さまざまなチェーディー(仏塔)やアユタヤ王朝時代の要塞や水門の跡などが残っています。
他の遺跡同様に正確な建立時期や理由などは分かっていませんが、建築物の特徴からアユタヤ王朝初期に建立されたと考えられています。
アユタヤ王朝年代にも寺院の名称が記載されており、アユタヤ王朝第27代「プラーサートトーン王」の時代には、問題を起こした王族などを王宮から追放し、この「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」のあった地域に住まわせたという記述が残っています。
また1767年のビルマ(現在のミャンマー)による軍事侵攻時に、寺院敷地の中にある要塞に向けて砲撃が加えられたことで、寺院周辺に大火災が発生したとの戦禍についての記載も残っているようです。
「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」の見どころは?
1:ランナ様式のメインチェーディー(仏塔)
メインチェーディー(仏塔)本体の頂上部分は、パッと見た感じはアユタヤ王朝初期に建立された遺跡に見られるクメール様式のような、トウモロコシに似た形状をしていますが、胴体部分が八角形となっており、タイ北部にあったとされるランナ王国の様式の特徴を備えています。
また八角形のそれぞれの面にアーチ型の窓が配置され、4カ所に漆喰で作られた仏像のレリーフが安置されています。
残念ながら、お顔の部分は破壊されてしまっていますが、部分的にですが黒い顔料なども残っており、アユタヤ王朝当時の面影を見ることができます。
以前、ご紹介したアユタヤ歴史公園内にある「ワットサンカパット」のメインチェーディー(仏塔)もランナ様式で作られており、同じような八角形の形状をしていますので、機会があれば見比べてみても面白いと思います。
2:サブチェーディー(仏塔)
ランナ様式のメインチェーディー(仏塔)周辺には、数多くのサブチェーディー(仏塔)が配置されており、アユタヤ王朝中期から後期にかけてみられるスリランカ様式や多角形型など、大小、さまざまなタイプがあり、これだけ多くの様式の異なるチェーディー(仏塔)を一度に見れるのも「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」ならではです。
3:簡易の礼拝堂?
アユタヤ王朝時代に作られたものではありませんが、メインチェーディー(仏塔)の後ろ側にある屋根の下には、白い仏像が安置されていますが余り参拝される方はいらっしゃらないようでした。
4:破壊された仏像
メインチェーディー(仏塔)と簡易の礼拝堂の間に、1体だけ破壊された仏像の胴体部分が無造作に置いてあります。黄色い布がかけてありますので、敬虔なタイ人の方がお参りをされていると思いますが、余りにも適当に置いてあるため、少し寂しい気がします。
5:アユタヤ王朝時代の船着き場
現在はレンガで囲まれた池のようになっていますが、アユタヤ王朝当時は、「ワットウォンコーン」と「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」に島内と島外の往来をするための渡し船があったらしく、その船着き場が境内にあったといわれています。
池には水が沸いているような感じの場所もあり、周回道路である「Uthong Rd(ウートンロード)」を挟んだ先には、今でも使われている運河があり、そこから水が入っているようでした。
6:カオプラーク要塞
アユタヤ王朝時代には、都市防衛の要として数多くの要塞があったといわれており、古い文献には18~22基と具体的な数字も書かれているほどで、以前、ご紹介したチャオプラヤー川とパーサック川の合流地点にある「ポンペット要塞」も、その中の一つです。
このカオプラーク要塞は、アユタヤ王朝第30代「ナーラーイ王(1633~1688年)」の統治時代に作られたと考えられており、幅約1.5m、高さ6.5mの立派な作りになっています。
今でも要塞の横部分は階段状になっていて、上に登ることもできますので、是非、試してみて下さい。
「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」の雰囲気は?
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「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」への行き方
「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」は、アユタヤ旧市街の島内北側にあり、アユタヤの代名詞でもある「ワットマハタート」から約800mほどの場所にあるため、トゥクトゥクだけでなくレンタルサイクルでも気軽に行くことができます。
1:トゥクトゥクを利用する場合
国鉄アユタヤ駅からトゥクトゥクを利用する場合、片道150バーツで行くことができますが、旧市街の中心部にも近いため、4時間800バーツほどで貸し切って、世界遺産「古都アユタヤ」の主要遺跡を観てまわる方が断然、お得です。
2:レンタルサイクルを利用する場合
国鉄アユタヤ駅方面から渡し船を使って旧市街に入り、「December House」で1日50バーツでレンタルサイクルを借ります。「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」に行くにはルート的には2つあり、どちらも非常に簡単で途中、他の遺跡にも寄ることができますので、ご紹介しておきます。
1:周回道路「Uthong Rd(ウートンロード)」からアクセス
レンタルサイクルを借りた「December House」の路地から出ると、交通量の多い周回道路「Uthong Rd(ウートンロード)」となります。この「Uthong Rd(ウートンロード)」を右折して、ひたすら道なりに約2.2kmほど進むと、左側に、ご紹介した「カオプラーク要塞」が見え到着です。
時間的には約20分ほどの道のりとなり、途中には「フゥアロー市場」や「ワットクンセーン」などがあり、のんびりと楽しみながら行くことができます。
2:「ワットマハタート」方面からアクセス
「December House」からアユタヤの代名詞でもある「ワットマハタート」や筆者の大好きな「ワットラチャブラナ」などを見ながら行くルートです。
まずは「ワットマハタート」を目指し「Ho Rattanachai Rd」を西に約1.2kmほど直進します。目の前に「ワットマハタート」が見えたら、そお交差点を右折して道なりに進むと約300mで左側に「ワットラチャブラナ」、そこから約200mで「ワットプラッパーチャイ」、さらに約200m進むと左に「ワットスワンナーワ」があり、その反対側にある入口が「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」の入口となります。
「December House」から約2.5km、時間は20分ほどの道のりとなります。
どちらのルートも距離、時間的に同じなので、ご自身の好きな方で散策してみて下さい。
名称 | ワットターサイ |
---|---|
名称(英) | Wat Tha Sai |
名称(タイ語) | วัดราชประดิษฐาน |
営業時間 | 08:00~16:30 |
拝観料 | なし |
住所 | Tha Wa Su Kri, Amphoe Phra Nakhon Si Ayutthaya, Chang Wat Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000 |
その他、豆知識
「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」での注意事項
これだけ歴史的に名称の出てくる由緒ある現存寺院で、寺院内にはチェーディー(仏塔)やカオプラーク要塞以外にも鐘楼(しょうろう)など、見どころが多く、ゆっくりと散策できれば良いのですが、注意点があります。
餌付けをしているのかよく分かりませんが、「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」の敷地内、特に遺跡のある場所には、野良犬が20頭ほどの群れをなして住み着いているため、非常に危険で、筆者も訪れた時にも5匹ほどの犬に、激しく吠えられ追いかけられそうになりました。
タイの野良犬は、狂犬病のワクチンなどは打っていないため、噛まれると非常に危険なので、寺院や遺跡を見学中に吠えられたら、静かに歩いて離れることを強くおすすめします。
まとめ
アユタヤ旧市街の北側に位置する「ワットターサイ(วัดราชประดิษฐาน・Wat Tha Sai)」をご紹介しました。現在も多くのお坊さんが修行をしている由緒ある仏教寺院ですが、アユタヤ王朝初期に建立された際の遺跡が数多く残る場所ですが、一般の観光客の方も殆どいないため、のんびりと散策することができます。
野良犬が多いのが気になりますが、アユタヤに来られた際には、是非、足を延ばしてみて下さい。
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